目黒の東京都庭園美術館の建物公開展に行ってきました。庭園美術館は、美術館自体がアールデコ様式の美術品。クラシック建築マニアが足を踏み入れれば、思わず目がハートになってしまう素敵な空間です。
そんな庭園美術館・館内の撮影は通常は禁止されています。しかし!館内を撮影してもいい展示が年に1回催されます。それが「建物公開展」なのです。
もう1回言います。
建物公開展のときは、庭園美術館・館内の撮影がOK!
というわけで、私もEOS Kiss M2にシグマの16mm F1.4 DC DN キヤノンEF-M用という広角単焦点レンズを組み合わせて、写真をたくさん撮影してきました。
この記事では、庭園美術館の見どころや撮影のポイント、また巡ってみての感想に加えて巡回に必要な所要時間などの情報をご紹介します。
◉庭園美術館の館内ではどんな写真が撮れるのかわかる。
◉見れば建物公開展のイメージがわかって予習になる。
◉お得に入場する方法も
庭園美術館とは
庭園美術館とはどんな美術館なのでしょうか?当初は皇族の朝香宮邸として建てられた建築物です。皇族の方のお屋敷だったわけですね。
↓以下の写真は庭園美術館内部のもの。明治〜昭和初期の西洋アールデコ様式と日本の巧が力を合わせて作り上げた、独特の雰囲気がある空間なんです。
美術館情報サイトのアートアジェンダには、庭園美術館について以下のように書かれています。
旧朝香宮邸(きゅうあさかのみやてい)は、朝香宮鳩彦王(あさかのみややすひこおう 1887年~1981年)の住まいとして1933年に建てられ、1947年の皇籍離脱まで暮らした邸宅である。
出典引用:アートアジェンダ
1983年には、東京都庭園美術館として開館し、2015年には、アール・デコ様式の精華を取り入れた昭和初期の歴史的建造物として、国の重要文化財に指定された。エレガントな装飾と、重厚感ある本物の素材と落ち着きある色彩による美しく知的な佇まいの中に、ユーモアやぬくもりを感じさせる、調和のとれたアール・デコの空間が完成している。
アールデコ様式の朝香宮邸を建築したのは、旧皇族の朝香宮鳩彦王(あさかのみや・やすひこおう)です。
フランス滞在中に目にしたアールデコ様式に魅せられ、日本に帰国した後に思い切りアールデコに振った邸宅を建ててしまった、というわけ。
それだけツボを刺激するものが見つかるなんてうらやましい‥。
とにかく庭園美術館は、その建築物自体が美術品でエンターテイメント。空間や調度品の美しさを楽しみ、そして建物公開展に限っては、内部の撮影も楽しめる‥。そんな貴重な機会が、庭園美術館の建物公開展なんです。
建物公開で撮れる写真
さて、庭園美術館の中ではどんな写真が撮れるのでしょうか?早速、私が撮影してきた写真を載せていきますね。
ちなみに今回は以下の機材を使って撮影しました。
カメラ:キヤノン EOS Kiss M2(EOS Kiss M2レビュー記事はこちら)
レンズ:シグマ16mm F1.4 DC DN キヤノンEF-M用
フィルタ:マルミ光機 アルプスパンチ (フィルター径 67mm)
アルプスパンチは、写真を懐かしい雰囲気する特殊効果が作れるフィルターです。アールデコの建築は、キレキレのピントの写真にしたくなかったので、入手したばかりのこのアルプスパンチフィルターを使ってみました。
↓こちらは、庭園美術館の本館の1Fから2Fの上り下りに使う階段です。赤じゅうたんが素敵ですね。
階段は人気の撮影スポットで、なかなか人が途切れるタイミングがなく、まあまあ撮影に苦労しました。
↓こちらは人気の階段を上がったところに広がる広間です。
抜け感のある空間が気持ちいい。ソファーの座り心地も良かったです。
↓以下は1Fの一室。高い窓がたくさんあって、採光充分!光がキレイ!窓から庭園が見えて開放感たっぷりです。
↓こちらは本館2Fのウインターガーデン。市松模様の床がおしゃれです。
何で「ウインターガーデン」なの?と疑問に思いましたが、どうも「冬場に暖を取る場所」みたいな意味合いのようです。南に向けてガラス張りに作った、サンルームとか温室のようなスペースなんですね。
↓こちらは階段裏の飾りです。窓枠にはまった花モチーフの飾りがアール・デコを感じます。
↑↑こんな感じの写真が撮れましたよ〜。
室内を広めに撮るには16mmのレンズは合っていましたね。でも、もう少し狭く切り取れて歪みが出ない標準域のレンズもあると良かったな‥。次回は焦点距離40mmくらいのレンズを持って行こうと思います。
それとアルプスパンチフィルターを使ったことで解像度が下がり、クラシックでノスタルジックな雰囲気になりました。使って正解だった‥と思います。
庭園美術館の内部構造
初めて行かれる方のために、庭園美術館の内部構造をざっくり解説します。
本館
本館には1Fと2Fがあります。1、2Fの移動は赤じゅうたんが敷かれた階段で行き来します。
新館
新館は本館1F奥から渡り廊下でつながっています。新しいだけあって本館とは、大分趣が異なります。
新館は透明感があり、こちらもまたセンスがよくて美しい建物です。ちなみに新館建築のアドバイザーは現代美術家の杉本博司さん。この情報を聞いて「どうりで〜」と思いました!(杉本博司さんとは、小田原の江之浦測候所を設計したりした、あの杉本博司さんです。江之浦測候所についてはこちらの記事をどうぞ!)
新館のおすすめポイントは、新館のラストのエリアで見せてくれる庭園美術館の成り立ち解説の動画。
そういう経緯でこの場所は作られたのね!ってよ〜く理解できるのでおすすめです。
動画を見た後は、再び本館に戻って、見逃していた展示をもう一度深く見直したくなります。
庭園美術館の建物公開展の感想
さて庭園美術館の建物公開展を見た後に、私はこんな感想を持ちました。
朝香宮鳩彦王はすごいもんを作ったなー。税金もたくさん使われたんだろうな。だけど経験ないだろうに(無茶振りされて)アールデコ作っちゃった宮大工達はすごいゾ!
いろいろあるけど朝香宮鳩彦王が完全に趣味に走ったアールデコ様式の自邸を作ってくれたおかげで、後世の私達がこうして自由に本物のアールデコの制作物や世界観に触れることができているんですよね。
節約・効率一辺倒ではこの素晴らしい成果物は生まれなかっただろう‥。
リベラルでフラットが善とされる現代では、公にこんなもの絶対に作れないわ‥。
ということは短期的に見ると、ぜいたくで、不平等で、格差の象徴に見えた成果物は、後の世の人にとっては過去の美意識や文化を知る貴重な財産になる。
私たちは本当は、新しく美しい建築物に公費が使われることにもっと寛容になる必要があるのかもしれない‥。
んなことを思っちゃいました。
余談はさておき、庭園美術館に撮影に行ってみて「ちょっと失敗したな」と思ったことがあるのでお伝えします。
庭園美術館の建物公開展を撮影するときの注意点
庭園美術館内を撮影に行くときは、以下のことに注意した方がよいです。
白い服はやめた方がいい
私は白いTシャツで行ってしまったのですが、撮影を楽しみに行くなら白い服はやめた方がいいかもしれません。なぜなら、白服はガラスへの映り込みが目立ってしまうから。黒なら白ほど目立ちません。私は黒い服はあまり好きではないのですが、次回は黒っぽい服で行こうと思います。
原色・ポップな服もやめた方がいい
ド派手な色の服や、90年代風のポップな服装もやめた方が良さそうです。館内の雰囲気とかけ離れていて、何というか‥そうした服装の方を目にすると、1930年代の雰囲気に浸りきれないです。まあ何を着ようと自由なんですが、できればこう、全員でいい感じに作り上げられるといいよな、と思います。
クラシックにめかし込んで行くと楽しい
私は持っていないので行けないのですが、和服やクラシック風の服装で来館すると、世界観に溶け込めて気分も盛り上がりそうです。他の人の写真に写り込んだとしても違和感は少ないです。次回は私もロングスカートを履いていこうかしら、と思っています。
荷物はロッカーに入れよう
使わない荷物はロッカーに入れましょう。100円入れて使用して、後で100円が戻ってくるロッカーがあります。
会期の初期に行った方がいいかも
私は時間がなくて最終日に行ってしまったのですが、結構混んでいました。美術展は最終日近くなると混雑しがちなので、始まってすぐの初期のうちに訪れた方がゆっくり見られるのかもしれません。
滞在時間に余裕を持って行こう
私は残り時間が1時間しかないタイミングで入場したので、結構焦りながら撮影しました。
まあ撮影などしないなら、1時間あれば充分見て回れる広さかな、と思います。でも撮影しているといろいろ追い込みたくなってしまうんですよね‥。フォトグラファーならこの気持わかりますよね?
ということで、私はもう少し滞在時間に余裕をもたせた方が良かったなと思っています。特に初めて行かれる方はあれこれ気になるスポットが多いと思うので、ちょっと多めに時間を見積もることをおすすめします。
庭園美術館・建物公開展の入場料金は?
さて2022年庭園美術館・建物公開展「アール・デコの貴重書」展の入場料金は以下の金額でした。
ただし庭園美術館の入場料金は展示内容により変動します。なので、その都度確認するようにしてくださいね。
庭園美術館にお得に入場する方法
庭園美術館にお得に入場する方法とは…ホテル雅叙園との提携割引を使う方法です。
2022年の建物公開展『アール・デコの貴重書』展は、雅叙園の『大正ロマン✕百段階段』展と相互割引がありました。
展示会場に設置された割引パネルの画像を撮影して見せると、入場チケット購入時に一般チケット1000円→800円に割引してもらえました。
200円も安くなったーー。嬉しい
庭園美術館と雅叙園の百段階段は、雰囲気が近いので、好きな人は両方好きな確率が高いと思うんですよね。ぜひご利用ください。
庭園美術館をもっと楽しもう
私は時間がなくて今回は行けなかったのですが、庭園美術館は庭園美術館というくらいで、庭園もステキなんです。お時間ありましたらぜひ庭園もお楽しみください。
庭園
庭園に入場するには料金がかかります。といっても一般200円と高くはありません。また展覧会のチケットがあれば庭園にも入場できるので、行かないと損ですよ〜。(私は損しました‥涙)
レストラン・カフェ
正門横にレストラン、新館1Fにカフェがあります。特にカフェのテラス席はとても気持ち良さそうでした。カフェに行けるのは展覧会のチケットを持っている人だけなので、展覧会に行かれたならば、その特権を活かしてぜひ行ってみて欲しいです。
最後に
庭園美術館は撮り甲斐のある写真スポットです。写真好き、カメラ好き、撮影好きの方はぜひおでかけになってみてください。
ちなみに以下の写真は入口の門の写真を外側から撮ったもの。これなら入場しなくても撮れますよー。
庭園美術館の基本情報
庭園美術館のアクセス・営業時間などの基本情報は以下のとおりです。
住所:〒108-0071 東京都港区白金台5-21-9
電話:050-5541-8600 (ハローダイヤル)03-3443-0201(代表)10:00-18:00 問い合わせフォーム:
開館時間:10:00-18:00 (入館は17:30まで)
休館日:毎週月曜日(祝日の場合は開館、翌日休館)、年末年始
(参考価格:2022年建物公開 アール・デコの貴重書展 一般:1000円)
庭園のみ入場料:一般:200円
・JR山手線「目黒駅」東口/東急目黒線「目黒駅」正面口より徒歩7分
・都営三田線・東京メトロ南北線「白金台駅」1番出口より徒歩6分
※白金台駅は2番出口にエレベーターあり
※正門で警備員が案内
※料金:普通自動車 1回 1500円
公式WEB https://www.teien-art-museum.ne.jp/
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