雨の日はどんな気分になりますか?ちょっとゆううつな気分になる人が多いのではないでしょうか。でも写真を撮るなら、雨降りの日は絶好の撮影日和です。街や植物や人々が、晴れた日には見せない、しっとりした表情を見せてくれます。
ぜひ、降ったら引きこもるのではなく、積極的に外に出かけてみましょう。この記事では雨の日におすすめの被写体や撮影テーマを集めてみましたので、参考にしてください。
おすすめの雨写真その1 窓や傘についた水滴
透明なガラスやビニール傘などに付いた水滴を主役にする撮影方法です。
この写真のポイントは水滴そのものと、水滴の向こうに透けて見える背景。
ピントは水滴に合わせます。
背景の色や明るさが写真の印象を変えます。いろいろな組み合わせを試して好きな仕上がりを探してください。
窓や傘の水滴撮影に向いた機材
がんばっても水滴写真がうまく撮れないなら、不向きな機材を使っているのかも。望遠レンズやキットのズームレンズだとうまくいかない可能性が高いです。
おすすめは、以下のようなレンズです。
- 最短撮影距離が短いレンズ(目安として最短撮影距離30cm以下)
- ボケ量が大きい明るいレンズ(目安としてF3.5以下)
- 軽くて取り回しやすいレンズ(目安として300g以下)
丸いものにはピントを合わせづらいです。カメラが迷ってなかなか水滴にピントが合わないことは、よくあります。
オートフォーカスで合わない時は、マニュアルフォーカスに変更し、マニュアルでピントを合わせてみましょう。
望遠レンズは、最短撮影距離が1メートルくらいです。被写体から離れないとピントが合いません。よって水滴の撮影には向いていないです。
レンズの焦点距離が短くて、F値を1.4〜4.0程度に小さくできるレンズだと撮影しやすいです。(F値について詳しくはこちらの記事をどうぞ)
例えば、こちらのEF-M28mm F3.5 IS STM レンズなんか使いやすいですよ。
レンズスペックは以下です。
- 開放F値3.5
- 最短撮影距離9.3cm
- 重量130g
開放F値が3.5と小さく、最短撮影距離はわずか9.3cm。条件を満たしています。近くのものにピントを合わせやすいレンズです。
コンパクトなミラーレスカメラ、EOS Kiss MやEOS Kiss M2と組み合わせて使えます。用途が広くて使いやすいリーズナブルなレンズです。
おすすめの雨写真その2 花や葉についた水滴
透けていない物体にくっついている水滴を撮るのも面白いです。
例えば花や、葉や茎についた水滴。あるいはワックス掛けたての車のボディ。
水滴を探していると気づくのですが、雨がかかった時、水を弾きやすく玉のような水滴になる花とならない花があるんですよね。
花の成分や、表面の形状による違いだと思いますが、自然って不思議です。
普段見過ごしていたそんなことに気づけるのも何だか楽しい。
花だけでなく、葉っぱも同様で、水を弾きやすい葉とそうでない葉があります。
このテーマの撮影に向いている機材
水滴をピシッと写し止めるには、マクロレンズが向いています。
私のおすすめマクロレンズ機材は以下のものです。
CANON EF100mm F2.8L マクロ IS USM
CANONらしい鮮やかな発色と、シャープでソリッドなくっきりした写り。植物の大胆な美しさを切り取るにはもってこいのレンズです。
TAMRON製のこのマクロレンズもおすすめです。
SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD (Model F017)
ふんわりした美しくまろやかなボケに定評のある、TAMRONのマクロレンズです。
手ぶれ補正機能も強力!
ちょっとしたカメラ本体の動きがピントのずれを生む「シフトブレ」にも対応しています。
マクロレンズで至近距離で撮影すると、特に手ブレは気になるところです。
かゆいところに手が届く、このような技術の進歩は大歓迎です。
おすすめの雨写真その3 雨に濡れた窓越しの風景
雨の日にバスや電車の窓越しに撮影するとなかなか面白いですよ。
ガラス窓独特の青緑っぽい色が載って、少し不思議な感じに撮れます。
このテーマの撮影に向いている機材
狭い車内ではコンパクトなミラーレスカメラが使いやすいです。
コンパクトで、オートフォーカスの早い機材が使えれば、撮影は非常に楽になります。
このあたりの小型軽量ミラーレスカメラに、軽くて薄いレンズを付けたものなら、乗り物の中など狭い場所で、他に荷物を持っているような、ありがちな状況でも使いやすいです。
3点ともオートフォーカス機能は、過去の製品に比べて飛躍的に向上しています。
楽に素早くピントを合せたい方は、最新カメラ機材を選ぶことをオススメいたします
おすすめの雨写真その4 水たまりの波紋
道路や、広場に水たまりができていたらチャンスです!
今まさに雨が降っている最中なら、みずたまりにできた雨の波紋を撮ることができます。
雨が止んで、水たまりの中から動きが消え、シーンと水面が整ったら、水面に映り込んだものが撮れます。
雨が降っても止んでもどちらに転んでも面白い被写体となってくれる水たまりは、写真家の頼もしい味方です。
おすすめの雨写真その5 水しぶき
打ち付ける強い雨が作る水はねや、水たまりに何かが飛び込んだ時の水しぶき。
こういった瞬間を切り取れると、インパクトの強いカッコいい写真になります。
動いているものの瞬間を切り取ろうと思ったら、高速シャッターを使うことがポイントです。また、シャッターを速くすると光が足りなくなるので、取り込む光を増やすためにISO感度を調整することも必要になります。
- シャッター速度はなるべく早く
- ISO感度を上げる
設定の数値としては、以下あたりを目安にするとよいかと思います。
- シャッター速度: 1/2000
- ISO感度: 1600
- 撮影モード:シャッター速度優先モード推奨
【注】シャッター速度優先モードとは、TVモードまたはSモードのことです。
(メーカーにより名称が異なります)
現場の状況や機材に応じて各設定数値は上げたり下げたりする調整が必要ですが、速めのシャッタースピードと、高めのISO感度の組み合わせからスタートして、好きな写り方と自分にとっての適正値を探っていくことが大切です。
おすすめの雨写真その6 濡れた路面のリフレクション
道路が雨でしっとり濡れると、路上にあるものを反射しはじめます。
地上の現実を写し込んだ路面は、少々非現実的な美しい光景となり、写真的には美味しい状態になります。
施工に水はけの良い新素材が使われていると、水が地面にたまらず場景を写しこんでくれません。
少し古いくらいの場所、メンテナンスが整っていないくらいのエリアの方が、リフレクション狙いの写真の撮影には向いています。
水がたまらない道路は歩きやすくて利便性は高く生活しやすいのですが、フォトジェニックの観点から見ると、ちょっと物足りないかもしれません。
放置された古い道路の方が絶景ポイントだったりするのです。
おすすめの雨写真その6 濡れて発色が良くなった風景
写し込みという「虚」の景色だけでなく、実在している樹木や花などの実際に存在する風景も、雨に濡れることで色鮮やかになり、みずみずしくしっとりした魅力的な風情を醸し出します。
記憶の中の光景を思い出すと、濡れて湿った時は、洋服でも道路でも色が濃くなったり、黒っぽかったりしてますよね。この人間が記憶する普遍的な記憶と印象を応用します。
撮影テクニックとしては、気持ち暗めのマイナス露出で撮影すると、しっとりとしたウェットで落ち着いた風情が表現できます。
ホワイトバランスも少し青み寄りになるよう、色温度低めに調整すると「水感」や「温度の低さ」が出てきます。
おすすめの雨写真その7 雨傘が作る光景
写真の要素の中で
「人は強い」
です。
これは、絵の中に「人」がいることの引きの強さを意味する言葉です。
写真を見た時、画面に人が存在していると、見る人は「人」の部分に目が行きます。
おそらく人間は、本能的に人の気配を無視できないのでしょう。
「画面の中に人がいる」
「傘をさした人がいる」
このことには意味があるのです。
写真的には。
画面の中に人が存在していることが、見る人に様々な想像を喚起させます。
いや、喚起しないかもしれないんですが。
受け手の感受性は自由なので、写真から何かを見出してくれることもあるし、何も見出してくれないこともあります。
しかし、作者がプラスアルファの要素を写真に加えることで、写真にベクトルをプラスすることが可能です。ストレートのボールにちょっと回転を与えるというか。
結果、何もプラスしなかった時とは違う意味の写真になってくる。
これが「撮り手の意図」です。
こういう小技を使いこなせるようになると、どんどん写真が楽しくなってきます。
まとめ
雨降りの日ならではの撮影テーマについてまとめました。今回は、雨天の特徴を活かした雨降る日の定番撮影モチーフと撮影方法をご紹介しました。
写真を趣味にする前には思ってもみなかったような物事の見方を、写真を始めてからはするようになるものです。
写真には、引きこもっている人を外に引っ張り出す力があります。
私も以前なら、朝起きて雨が降っていると舌打ちしたくなりましたが、写真を始めてからはむしろワクワクするようになりました。
写真は、人に多面的な視点を持たせます。
ぜひ、写真とともに人生の苦痛に立ち向かい、どのようなシチュエーションでも楽しめる柔軟なものの見方を手に入れてください。
雨の日の撮影に役立つアイテム
持っていると、雨降りの日に確実に役立つ雨対策アイテムを、以下の記事で紹介しています。
あると格段に撮影が楽になりますので、ぜひ本記事とあわせてお読みください!