こんにちは、フォトグラファーのちゃんまり(@sugar_mariko)です。
この記事では、カメラを使いこなす時に避けては通れない『F値』について解説します。
F値とはレンズの絞りの値のこと
F値とは、レンズの絞り具合を表す数値です。ほとんどのレンズのF値は、1.4から32くらいの間で推移します。
F値が表示される場所
F値は、デジタルカメラの電源をオンにすると、背面液晶に表示されます。
↓このような感じです。
絞りの仕組みと役割
実はカメラのレンズは、内部にプロペラみたいな羽が仕込まれています。レンズ毎に仕込まれている羽の枚数には差がありますが、とにかく複数の羽が円状に配置されています。
日用品で近いものを挙げると‥ステンレスの蒸し器です^^
↓これです(笑)。
羽がペラペラついていて、で、羽をぎゅっとするとまんなかの穴が小さくなって、羽を広げるとまんなかの穴が大きくなりますよね?
これと同じ仕組みが、レンズにもあります。レンズの中に仕込まれた羽をギュッと絞ると、羽の内側の穴が小さく絞られ、ふわっと広げると大きく拡がります。
以下は、レンズを絞った状態から、レンズを開いた状態への変化を図で表したものです。左側が絞っている状態、右側が開いている状態となります。
絞りを調整して作られた中央の穴の間を、重要なものが通ります。重要なものとは『光』です。
穴と光の関係は以下のようになります。
穴が小さいと→ | 間を通る光の量は少ない |
穴が大きいと→ | 間を通る光の量は多い |
穴が小さければ通る光は少なく、穴が大きければ通る光の量は多くなります。
光が多いか少ないかで、写真が大きく変わります!
F値を見ると、光の量が多いか少ないか判断できます。だからF値を見ることはとても大事です。
ちなみに、各レンズの最小F値は下の式で求められます。
レンズの焦点距離÷レンズの有効口径=そのレンズの最小F値
ただこの「レンズの有効口径」というものが、簡単にはわかりません‥。レンズのスペック表にも出ていないんです。フィルターの径とも違うものです。
有効口径とは、「レンズをいちばん開放にしたときにレンズ中央にできる穴の直径」のことになります。
もし、レンズの有効口径を実験的に確認してみたいなら、
- レンズを開放F値に設定して、フォーカス
- レンズの先端を自分の顔に向けてのぞく
- レンズの穴が見える
- 見えた穴が有効直径
という行為をやってみるとよいです。レンズの中央が大きく開いている状態を目で見て確認できます。
F値を変えるとどうなるか
つづいて、F値を変えて光の量が変わると、どのように写真が変わるか?を解説します。
F値で変わることその1 ボケが大きい/小さい
F値を変えると、ボケの大きさが変わります。
F値を小さくする→ボケが大きくなる
F値を大きくする→ボケが小さくなる
F値を小さくする、たとえばF2.0にするとボケが大きくなります。
反対にF値を大きくする、たとえばF20にするとボケが小さくなります。
F値で変わることその2 明るい/暗い
F値を変えると、明るさが変わります。
F値を小さくする→明るい
F値を大きくする→暗い
F値を小さくする、たとえばF2.0にすると明るくなります。
反対にF値を大きくする、たとえばF20にすると暗くなります。
F値で変わることその3 被写界深度が深い/浅い
F値を変えると、被写界深度が変わります。
被写界深度とは「ピントが合っている範囲」のことです。
「被写界深度が深い」とはピントが合う範囲が広いということです。
手前から奥へと距離が遠くなっていく中で、
・ピントが合っている範囲がどの部分なのか?
・どこからどこまでにピントを合せたいのか?
被写界深度を考えて撮影するのは、写真表現では非常に大事なことです。
「被写界深度が深い」と、手前から奥まで広い範囲にピントが合います。
たとえばF値をF20と絞れば、被写界深度は深くなります。ピントは手前から奥まで、幅広いエリアで合っているように見えるでしょう。
たとえば、以下の写真は被写界深度が深いです。
逆に「被写界深度が浅い」とピントが合う範囲は狭いです。「被写界深度が浅い」と手前から奥までのごく狭い範囲にだけピントが合います。
以下の写真は、F値をF2.0と絞りを開いて撮影したものです。ピントは、手前のレンズキャップがある面だけに合っています。それより後ろの部分にはピントが合わず、ふわ〜っとボケていますね。
被写界深度を表にまとめると↓こうなります。
F値 | ボケ | 明るさ | 被写界深度 |
---|---|---|---|
小 | 大きい | 明るい | 深い (ボケない) (ピント合う範囲広い) |
大 | 小さい | 暗い | 浅い (ボケる) (ピント合う範囲狭い) |
F値の変化の法則
F値の変化には、以下の法則があります。
F1.4> 2> 2.8> 4> 5.6> 8> 11>16> 22> 32
それは「1つおきに2倍になる」というもの。
ちょっと、1つおきに分解してみましょう。
F1.4> 2.8> 5.6> 11> 22
F2> 4> 8> 16> 32
どちらも、かける2で変わって行っています。
実はこのF値の✕2変化のルールは、写真を撮る上でとても大事。初心者の方は、ぜひ覚えておいてください。
最もカンタンなF値の変更方法
つづいてF値の変更方法を解説します。1番簡単な方法です。
それは、撮影モードを「絞り優先モード」にしてF値調整すること。
絞り優先モードは、カメラメーカーにより名称が異なります。
・AVモード
・Aモード
といった撮影モードが「絞り優先モード」です。
「絞り優先モード」にすれば「ボタンダイヤルを回す」といった簡単な操作で、すばやくF値を変えられます。
F値の変更は撮影中に何度も行う行為です。このため、どんなカメラでも、すぐF値変更操作ができるように、素早くF値変更操作ができるように作られています。
【参考】EOS M3でF値を変える方法
(1)撮影モードを絞り優先(AVモード)にする
(2)電子ダイヤルをぐりぐり回してF値を変更する
ちゃんまり’s F値のまとめ
F値について解説しました。F値はレンズの絞りの大きさを表す数値です。F値が「22」など、大きな数字ならば、絞りはギュッと閉じています。逆にF値が1.4など、小さい数値ならば、レンズは絞られずにふわっと開放になっています。
F値はカメラで写真を撮る時の肝です。初心者は、F値と聞いて「何の暗号ですか?」と、とっつきにくく感じるかもしれません。
しかし何度もカメラを触って撮影するうちに、自然とF値の感覚は身につくものです。
ぜひ、撮影とカメラに親しんで、F値を体で覚えてください。