CANONフルサイズ一眼レフEOS 5D Mark 4は使いやすくて頼もしいカメラです。防塵防滴で雨や雪にも強い。光量が少なくストロボが使えない室内での人物撮影でも、しっかりと撮れ高を出してくれます。
しかし私には、5D Mark 4に実装されていたら間違いなくもっと使いやすかったと残念に思うポイントが5つあります。実現していれば私の撮影はぐっと楽になっていたことでしょう。同時期に発売された他メーカーの機種では実装されているので、技術的に不可能ではなかったはず‥残念です。
しかしデメリットがあっても使い続けるのは、上回るメリットがあるからです。頼りになるカメラであることは間違いありません。絶対に失敗したくない撮影には、EOS 5D Mark4を持っていきます。
この記事では、オーナーならではのグチと要望をざっくばらんにつづります。EOS 5D mark5が発売されることがあるならば、ぜひとも改善して欲しいです。
5D mark4デメリット1バリアングル/チルトなどの可動式モニターでないこと
EOS 5D Mark 4の背面液晶モニターは固定式なんです。可動式ではないんです。
チルト式かバリアングルの可動式モニターだったなら、本当に使いやすかったでしょうね。
特にローアングルで撮影する時は、モニターが可動式の場合と可動式でない場合では体の負担が全然違います。
ちなみに、チルト式モニターというのは、モニターの左右の軸を固定したまま、上下に動かせる方式のモニターを言います。横構図の時に、アングルの自由度が高くなる可動式モニターです。
私がサブで持っているEOS M3もチルト式モニターを搭載しているカメラです。横位置で撮影する時、足元で構えたいローポジション、手を思い切り伸ばして上から撮りたいハイポジション撮影の時にチルト式モニターは重宝します。
モニターが動かないEOS 5D Mark4では、地面すれすれの被写体を狙う時、自分の体を伏せて、撮影ポジションを作らなくてはなりません。
例えて言うと、匍匐前進。
このポーズは、体幹トレーニングのための運動に近いです(笑
腹ばいになっての撮影は体力を奪われますね。今もやってみましたが、くらくらします。
技術的にはチルト式モニターの搭載は不可能ではないと思うんですけどね。NikonのD850はチルト式かつタッチパネル対応のモニターを採用していますもんね。可動式であるならば、チルトでなく、バリアングルでもいいんですよ。
バリアングルは、モニターの短編が1箇所だけ固定で、あとは自由に回転できるタイプの可動式モニターです。チルトは横位置での自由度が高いですが、バリアングルの場合は、カメラが縦位置の時にポジション自由度が高いです。
バリアングルは何と言っても縦位置でのローポジション撮影がやりやすいです。地面スレスレの位置から『縦位置で猫を狙う』といった時には大活躍ですよ。
5D mark4デメリット2瞳認証がついていないこと
EOS 5D Mark4には瞳認証が搭載されていません。これはミラーレスじゃないと無理な機能なのでしょうか?それとオートフォーカスの方式によっても実現できる/できないがあるのかもしれませんね。
ミラーレスのEOS Kiss MやEOS Rは瞳認証機能を持っていますね。カタログにも載っています。瞳認証機能があると、人間や動物など「目がある被写体」の撮影がテキメンに楽になります。
たまにソニーやパナソニックのミラーレスを触ると、びっくりします。それは瞳認証機能のおかげで、目にピントを合わせるのがめちゃくちゃ簡単だから。瞳認証があれば最高ですが、顔認証だけでも持ちあわせていれば、歩留りは上がるだろうなあ。
ピント合わせが楽になる分、他のことにリソースを使えるのっていいよなあ〜。
5D mark4デメリット3ピーキング機能がないこと
CANONではミラーレス機のEOS M3から搭載されている『MFピーキング機能』は、マジで最高です。『MFピーキング』とは、ピントをマニュアルで合わせる時に、合焦した部分に色をつけて表示してくれる機能です。色は赤、青、黃から選べます。もうこの機能が本当に便利で、ミラーレスカメラを使う時はめちゃめちゃ助かってます。
でも『MFピーキング』はミラーレスでよく使うオートフォーカス方式「コントラストAF方式」ならではの機能です。「コントラストAF方式」ではないEOS 5D mark4にはピーキング機能はついてないのです。
※少々技術的ことを説明しますので、興味のない方はこの枠内は飛ばしてください。
コントラストAF方式というのは、『コントラストが高いところ』を探し出して、そこにピントをあわせる方式です。検出した一番コントラストが高いところにピントを合せ、その部分に色付けして表示するのがピーキングなのです。
ミラーレスカメラはコントラストAF方式でフォーカスするものが多いのですが、一眼レフは別の方式、フォーカス速度の速い『位相差AF方式』を採用しています。5D mark4もそうです。
速さを取るか、遅くてもちょっとした便利機能を取るか‥製品化する時にトレードオフになってしまったのでしょう。ユーザーとしてはどっちも実現して欲しかったです。大変残念です。
→MFピーキングはフルサイズミラーレスカメラEOS Rで実現しました。やっぱりミラーレスなら搭載できるのですね。
5D mark4デメリット4サイレントシャッターがないこと
EOS 5D mark4にはサイレントシャッターがついていません。
サイレントシャッターは、大きな音を立てたくない時に役立つものです。例えば、管弦楽団の演奏会の撮影。クラシック音楽においては、どの楽器も音を出さず、静寂の瞬間が存在します。静寂の瞬間に、会場内は観客も演奏家も全員が息をひそめて次の瞬間を待ちます。
こんな時に一眼レフでシャッターを切ろうものなら、レリーズ音が『カシャ‥』と響き、本当に場違いです‥。気分は「やらかしてしまった‥」。
このため絵柄的に「今いい!撮りたい!」と思っても、撮るのを控えることもあります。
動物を撮る時も静かであることに越したことはありません。例えば猫。
猫たちの聴覚センサーって本当に精度が良いです。こちらの音を敏感に察知します。猫を撮る時は驚かせないように身を低くしてゆっくり近づき、フォーカス音を消して、構図を作って、シャッターを半押し、そのままぐっと押し込む‥と細心の注意を払います。しかし最終的にシャッターを切った瞬間に音が響いて、猫ダッシュで逃げる‥みたいなことがよくあります。何枚か撮りたくても、逃げられるので一枚撮って終わりになってしまいます。
カメラのレリーズが無音だったならば、猫写真のバリエーションはもっとたくさん撮れていたと思います。
5D mark4デメリット5 測距点がセンター寄りなこと
5D mark4のデメリットその5は、ピント合せや構図づくりに関係することです。5D mark4は、オートフォーカスでピントを合わせるための測距点が、画面全体の中の中央寄りにしかありません。
ただこのデメリットは5D Mark4に限った話ではなく、一眼レフのカメラに共通のことです。一眼レフのカメラはどれもみな、測距点が中央にぎゅっと固まっています。過去機種よりはだいぶ広がったのですが、それでもまだ画面全体に広がっているとは言い難い状況です。
ちなみに下の画像が5D Mark4の測距ポイントです。
結構中央に集約していますよね。しかし「センター集中」は何も5Dmark4に限った話ではないのです。他のメーカーの製品でも、一眼レフカメラであれば、状況はほぼ同じです。
例えば、ニコンのD850の測距ポイントの範囲も、5DMark4とそう大きな違いはありません。やはり中央に集まっています。
かつてはそれでも、過去製品と比べると「ここまであるのか‥!感動!」という感じで重宝されていたのですが、ミラーレスカメラのフォーカス可能範囲を知ってしまうと物足りないです。
最新のミラーレスカメラは、画面のほぼ全面に測距点があります。例えばCANONのミラーレスカメラ EOS R のオートフォーカス可能範囲は、モニターやファインダーの端ぎりぎりまであります。ピント位置をかなり自由に決められるようになっており、従来とは構図の概念すらも変わってきています。
EOS Rだけでなく、NikonのフルサイズミラーレスZ6でもフォーカス範囲は、ほぼ画角の全域に広がっています。フォーカスエリアが広く、四隅、四辺に近い部分でも簡単にピントを合せられるというのは、ミラーレスカメラならではの優れた機能と言えます。
画面の隅に主役被写体を置き、オートでピント合せをしたいなら、一眼レフよりミラーレスカメラが圧倒的に使いやすいです。これはもう、一眼レフが超えられないミラーレスの優位点ですね。
5D mark4デメリット6大きくて重いこと
5D mark4は重いです。カメラが重いだけでなく、対応するレンズも重いです。
↓以下は私の標準装備なんですが、まあ重いです。
- EOS 5D Mark 4本体:重量800g
- メインレンズTAMRON SP 24-70mm F/2.8 Di VC USD G2 (Model A032) [キヤノン用]:重量905g合計で1,705gです。レンズを望遠にするとさらに増量します。
- 望遠レンズTAMRON SP 70-200mm F/2.8 Di VC USD G2 (Model A025) [キヤノン用]:重量1,500g5D Mark 4との合計で2,405gです。
2Kgの物体を首から下げるって相当な苦行です。
私は5D mark4の重さに耐えて、何としてもいい写真を撮りたかったので、重量対策についてはいろいろ自分で開発しました。私が考えた重さ対策を3つ、ご紹介します。
5Dmark4の重さ対策1 正しい構え方をマスターして乗り切る
正しい構え方をすると疲れにくいだけでなく、手ブレが起きにくくなります。また、構図の水平垂直も作りやすくなり、構図の乱れが少なくなります。縦位置の場合ですが、お腹に力を入れて、胸を張り、半身になって左足の爪先を真っ直ぐ被写体の方に向けるといいです。
意外と多いのが左足の爪先が内に入ってしまったり、外側に開いたりするケースです。爪先がこのよう左右に流れると、構図が崩れて体の軸が傾きます。
撮影に夢中になるとついつい忘れがちなのですが、時々自分の爪先を意識するようにしましょう。正しい姿勢で撮影していると体の負担が減り、撮りやすくなります。
5Dmark4の重さ対策2 斜めがけストラップ使い負荷を肩で受けとめる
カメラ購入時に同梱されている付属のストラップは、斜めに掛けるには短すぎますよね。あれを使っている限り、首にかけて使うことになると思います。あるいは肩にショルダーバッグのように引っ掛けるやり方もありますね。ショルダーバッグ系は、滑り落ちそうで不安でもあります。落としたくなければ首から下げることを選択する人が多いと思います。
でも、こんな重いものを首から下げていたら痛くなって当たり前です。付属のストラップを使うのはやめましょう。
私が使っているのは、JETGLIDE 3という長さが調整できるストラップです。JETGLIDEは必要ならストラップを引っ張って長く伸ばせます。伸ばしたままだとブラブラして歩く時に邪魔なのですが、邪魔な時はストラップを引っ張って瞬時に短くできます。体にフィットさせたり、緩ませたり自由自在な使いやすいストラップです。
こういった、斜めがけしやすいストラップに取り替えることをおすすめします。首から下げるより、肩から斜めに掛ける方が体への負担は断然小さいです。
使いやすく負荷が集中しないストラップを使うことで、身体の負担は減ります。
5Dmark4の重さ対対策3トップローダーバッグを取り入れる
上の写真はロープロのトップローダーバッグです。トップローダーバッグをご存知ですか?レンズをセットしたカメラ本体を収納するのにちょうど良い、小型のカメラバッグです。
ご紹介している4.3Lのトップローダーバッグは、大口径の標準ズームを付けた5D Mark 4がぴったり収まるサイズです。
このバッグを使うメリットは、機材の取り出しやすさと安心感です。トップローダーバッグの存在を知らなかった頃は、カメラをカメラリュックに入れて背負って持ち運んでいました。背中に背負った状態では、「お!」と感じる被写体に出会った時に、素早くカメラを取り出すことができません。せっかく重たい一眼レフ一式を持ってるにもかかわらず、肝心な一瞬を撮影しないことがよくありました。
しかしトップローダーバッグを導入してからは、カメラが常に体の前にあり、素早く取り出せるようになったため、撮影機会が増えました。
レンズをセットしたカメラ本体をこのトップローダーバッグの上に載せることで、カメラストラップを通して体にかかる負担が分散します。トップローダーバッグとカメラのストラップを左右別々の肩に掛ければさらに負荷が分散するので、より楽に感じられると思います。
トップローダーバッグの詳細記事はこちらをどうぞ。
まとめ
実際に使用してみて、ココは残念だったな‥と感じるEOS 5D Mark 4のデメリットを思い切ってあれこれ書いてみました。
この記事では、あえてデメリットばかり集めているのですが、総合的に見ればEOS 5D Mark 4は使いやすくて信頼できるカメラです。地味ですがフルサイズ一眼レフとして、機能・性能・価格のバランスが非常に優れています。難しいシチュエーションや、厳しい自然環境でも期待に応えてくれるプロユースの製品です。
EOS 5D Mark4より新しい製品には、先進の便利な機能や、進化したセンサーを持っている機種もいろいろあります。しかし良い写真は最新の機種でないと撮れないわけではありません。先人たちは今よりもっと機能の少ないシンプルなカメラを使い、歴史に残る素晴らしい作品を生み出してきました。もしEOS 5D Mark4を使っても良い写真が撮れない‥と感じるとしたら、悪いのはカメラではありません。撮影者の技量が少し足りないだけです。5D Mark4の優れた性能が割安な価格で手に入るこの時期(2020年)5D Mark4は間違いなくお買い得だと思います。
5D Mark4の優れた点についてはレビュー1・2にまとめています。5D Mark4のメリットやよい点について知りたい方は、以下記事をお読みくださいませ。
EOS 5D mark4利用者のための便利記事
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