CANONのフルサイズ一眼レフEOS 5D Mark 4を2017年夏に購入しました。私にとっては初めてのフルサイズ一眼レフカメラです。
満足できなかった理由は、使い方がよくわからず、高い機能を使いこなせていなかったから。
購入する前は、値段が高くて性能が良くて人気があるカメラさえ買えば、いい写真が撮れると考えていたんです。
でも買ってみたら違いました。当たり前ですよね。カメラはいいのに撮影した自分の写真には満足できない日々が続きました。
EOS 5Dmark4の良さを実感したのは、購入後1年以上経ってからです。
満足できるようになった理由は、撮影の経験が増えたことです。「このシチュエーションならこの設定」と、自分なりに使いこなすコツがわかってきて、期待以上の作品が撮れるようになったんです。1年かけてやっと5Dmark4の価値がわかるようになりました。
EOS 5D Mark 4の購入をご検討中でしたら、この記事は参考になると思います。ぜひ最後までお読みください。
それでは、レビューをお届けします。
EOS 5D Mark4の良い点1 高感度性能が高いので暗所に強い
まず最初に強調したい5D Mark 4の良い点は、高感度耐性が高く暗い場所でも安心して撮影ができることです。
EOS 5D Mark IVは、超絶暗いところでストロボなしでもブレないくっきり写真が撮れます。
高感度耐性に優れ、暗所に強いカメラがあると撮れ高がアップします。その理由は、撮影に向いていなさそうな光の少ない場面でも問題なく撮れるようになるからです。
室内で撮影する時をイメージしてみてください。屋外から室内に一歩入ると結構暗いですよね?太陽光で明るい屋外と比べて、建物の中は圧倒的に暗いです。
暗い場所で撮影する時の対応方法としては主に以下の2つ。
- シャッタースピードを遅くして取り入れる光量を増やす
- ISO感度を上げて光に対する感度を高める
このうち、シャッタースピードを遅くすると発生する問題は『ブレ』です。
シャッターを切る間に被写体が動き自分も動いてしまうので、被写体ブレと手ブレ、両方起きやすくなります。
一方のISO感度を上げるやり方なら、シャッタースピードが速いままだからブレは起きにくいです。ISO感度バンザイ!と言いたいところですが、ISO感度を上げた場合、ノイズが発生する問題が起きます。画面にザラザラしたノイズが載ってきます。
しかしEOS 5D Mark 4の場合は、高感度耐性が優れているので、ISO感度を上げていってもノイズがあまり気にならないのです。
感度のレベルは1600<3200<6400<12800<25600と上がって行きますが、ISO6400くらいまでならノイズをほとんど感じません。
個人的には12800までは実用レベルと感じました。暗い場所でなおかつシャッタースピードを速くしたい時にとても頼りになります。依頼を受けて撮影する時や、失敗が許されないイベント撮影での安心感は半端ないです。
むしろ初心者ほど良い機材を買った方がいいとも言います。なぜならば、上級機の方が失敗しにくいから。上級機は調整機能が豊富なので、撮影者の至らない部分をカメラの性能が助けてくれます。もし失敗しても、容易にリカバリーできるよう配慮されているからです。
EOS 5D Mark 4はプロもカメラ経験の長いアマチュアも使う上級機です。高感度耐性が強く、暗いところで撮影してもノイズが少ない頼れるカメラです。
EOS 5D Mark4の良い点2 タッチパネル設定が便利
EOS 5D Mark4は、1世代前の機種である5D Mark 3から基本的な性能はそれほど変化していないと言われています。でもそんなことない、大きく進化していると私は感じています。私が感じる3から4への大きな進化がタッチパネル対応です。5D Mark3の液晶モニターはタッチパネル対応していないのです。
やはりカメラは道具ですから、使いやすいことが大事です。ちなみに私が最初に使い込んだ一眼レフカメラは、CANONのミドルクラスAPSC機であるEOS 70Dなのですが、タッチパネル操作が非常に便利なカメラでした。ファーストコンタクトで、便利で使いやすい液晶タッチパネル操作を覚えてしまうと、次からも体がその便利レベルを期待してしまうんですよね。少しでも便利さが低下しているともう耐え難い‥!みたいな。
習慣とは恐ろしいもので、私はカメラを手にすると、タッチパネル対応じゃない機種でもついつい、モニターにタッチしてしまうんです。ずっとスマホを操作していると、パソコンのモニターを指でスライドしてしまうような感じですね(笑)。
以前寒冷地での撮影用手袋の記事で書きましたが、EOS 5D Mark 4のタッチパネルの精度は非常に優秀です。
タッチパネルの感度を「敏感」にしておくとグローブ越しでも操作できるのです。
同じグローブをした状態でiPhoneは反応してくれません。いちいちグローブをはずさずに操作できるのは、寒冷地では非常にありがたいことです。下手にはずすと凍傷のリスクもあります。精度の高いタッチパネルでの操作が可能であることは、声を大にして言いたい大きなユーザー体験の向上です!
EOS 5D Mark4の良い点3 つかみやすいグリップと手触り
カメラは精密機械であると同時に道具でもあります。道具は自分にとっての使い勝手、使いやすさが命。触った感触がしっくり来ない道具は、自分には合わない道具です。
そもそも手で持って操作するのですから、手触りは非常に大事です。触るたびに「この感触何か気に障るな‥」と神経逆なでされていたら、ストレスがたまり、やがてその道具は使わなくなることでしょう。
EOS 5D mark ivの場合はよく研究されていて、触った感触、つかんだ感触がしっくりと手になじみます。
本体右側の出っ張ってる部分(正式名称はグリップ)を右手でつかんだ時の感触がとても良いです。出っ張りから凹みへのカーブの深さというか形状が親指の付け根から手の平に心地よくフィットします。
また、グリップ部分に使われている素材のざらざら具合や熱伝導性もちょうど良いです。寒い冬場も高温の夏の日も冷たすぎず熱すぎず快適に触ることができます。
EOS 5D Mark4の良い点4 表面ボタン豊富で操作が速い
5D Mark4のタッチパネル対応が素晴らしいとホメたところなのですが、5D Mark 4はボタン操作がしやすいことも大きな魅力なんです。さわりやすいところに操作ボタンが豊富に付いているので、とっさの時に素早く設定変更ができます。それぞれのボタンのタッチも微妙に変えてあったりして心憎いです。本当に地味で奥ゆかしい工夫なのですが、こういうところがCANONの底力、キヤノンの強みだと思います。
特に私が感動したのは、ISO感度を変更するボタンだけ、近くにある他のボタンと触った感触を変えてあることです。撮影中にISO感度の変更をひんぱんに行う人が多いからだと思いますが、キヤノンすごい‥!と思いました。
ファインダーから目を離さずに、指先の感覚だけで、ISO感度を変更できます。ポッチ付きのISOボタンを押してISO感度変更機能をアクティブにして、カメラフロントのメインの電子ダイヤルをグリグリと回せばISO感度の数値を変えることができます。慣れてしまえばこの方法はタッチパネルを見て変更するより、格段に速いです。
写真とは、最終作品を脳内にイメージし、目の前の状況から『必要ならば』瞬時にカメラの設定を調整し、シャッターを切ることで実現する表現方法です。今採るべき行動を、瞬時に決定して速やかに実行せねばなりません。高度で複雑な作業です。
いかにスピーディに操作するか?が作品の善し悪しを左右します。短縮できるところは短縮し、事前に準備できることはしておく。カメラに助けてもらえることは助けてもらいましょう。
EOS 5D Mark 4の良い点5 階調豊か!レタッチしやすいダイナミックレンジ
撮影する時はRAWデータで撮影しておけば、明るさや色味などを後でレタッチアプリで調整することができます。私はRAWで撮影することを覚えてからは、jpgでの撮影はしていないです。撮影データをRAWデータ形式で持っておけば、いろいろいじってもデータが劣化しないので安心なんですよね。
ただ、RAWデータをレタッチする場合に注意することがあります。それが『白トビと黒つぶれ』です。白トビとは、撮影した画像が明るい方に振り切れている状態のことで、黒つぶれというのは暗い方に振り切れている状態のことです。
カメラがとらえることができる明るさの範囲には、上限と下限があります。明暗差の高いシーンを撮る場合、明るい方を捨てるか、暗い方を捨てるか撮影者は選ばなくてはなりません。両方取り込むことは、現在のデジタルカメラセンサー技術では無理なのです。
すごく明るい部分から少し明るい部分まで、その微妙な変化のグラデーションを保ったままカメラ内に取り込もうとした場合、反対側の暗いエリア側はグラデーションを保てません。ある地点からはただ真っ黒な、いわゆる「黒つぶれ」状態になります。逆に暗い方のグラデーションを重視して、明るい方の階調を捨てると決めたら、ある地点よりも明るい部分は全て真っ白の状態になります。これが白とびです。
さて話をEOS 5D Mark 4に戻しますと、EOS 5D Mark 4は明暗差のある状況でも白トビや黒つぶれを起こしにくいです。小型のEOS Mマウントのミラーレスカメラや、APSC一眼レフのEOS 70Dに比べると明らかにダイナミックレンジが広いんです。
例えば以下のような夕景シーン。空の部分は明るいですが、手前の地表部分が暗く明暗差が大きいです。
EOS 5D Mark 4で撮影したこの写真データのヒストグラムを見てみると、きちんと枠の中に収まっています。白とびも黒つぶれもしていません。こういったデータなら、レタッチのしがいがあります。名画のように、繊細な変化を保ったまま、自分のイメージ通りの作品に仕上げることが可能です。
白とびや黒つぶれしてしまうと、レタッチソフトでいくら頑張っても階調を復活させることはできません。ベタッとした単調な表現となってしまい、奥行きや深みを感じさせることができなくなります。
『白とび・黒つぶれのあるデータ』と『白とび・黒つぶれのないデータ』の差は、写真の仕上げ時には、より大きな差となって現れます。『白とび・黒つぶれのないデータ』を撮影できることは、非常に大切なことなのです。
EOS 5D Mark 4の良い点6 プロ向け仕様のデュアルスロットがいざという時助かる
EOS 5D Mark 4は、プロ写真家の使用を想定しているので「いざという時困らない」スペックで開発されています。
アクシデントがあっても撮影データが失われないよう、データ保存用カードスロットを2つ持っています。
2つのカードスロットへの書き込み方式は、自分で柔軟に設定できるので、便利です。
【1】同時に両方のカードに同じデータを書き込む
【2】一方にRAWデータを書き込み、もう片方にjpgデータを書き込む
【3】1枚目のカードに書き込み終わったら2枚めのカードに書き込み始める
など、カメラマン自身のポリシーと使い勝手に合せて、いろいろな使い方ができるようになっています。
特に【1】同時に両方のカードに同じデータを書き込む設定 にしておけば、撮影データを強力に安全に保存できます。例えば、クライアントに依頼された撮影の場合、絶・対・に、データを無くしたり壊したりしたくないですよね。そんな時に、データスロットが2つあるのは、非常に心強いです。
めったに行けない秘境での撮影などの時も、カード2枚に同じ内容を書き込んでおけば、万一の時に助かるかもしれません。
2つのデータスロットのうち、1つはコンパクトフラッシュカード、もう一つがSDカードとなっています。2種類のカードを準備する必要がありますので、そこは少し注意が必要です。
まとめ
EOS 5D Mark 4はさすがにプロ仕様のフルサイズ一眼レフカメラです。使いこんで行くうちに、なぜ高いのか?なぜ支持されているのか?がじわじわとわかって来ました。
EOS 5D Mark 4使用レビュー後編
さて、まだまだ語りたいのですが、記事が長くなりましたので2本に分けました。EOS 5D Mark 4使用レビュー後編は下記となります。
EOS 5D Mark 4の残念ポイント
さらに残念ポイントについてまとめた記事もあります。あわせてお読みいただけると5D Mark 4を総合的にご理解いただけるのでオススメです。
EOS 5D Mark 4で使える互換バッテリー
EOS 5D Mark 4を購入してガンガン撮り始めると予備のバッテリーが必要になって来ます。予備バッテリーを買いたい人のためのレビュー記事です。
EOS 5D Mark 4おすすめ設定情報
以下は5D Mark4を使用中の方向けの情報です。この設定を取り入れると、ぐぐっと素早く撮影できます。動くもの、動かないものを切り替えて撮影したい方におすすめの設定です。
EOS 5D Mark 4の動作が遅い時に読んで欲しい情報
またこちらは5D Mark4のシャッターを切る動作が異常なほど遅い時に読んで欲しい記事です。
https://sugarcamera.work/canon-busy/
最後に掲載されている子供たちの写真、すばらしい。
なんと、辛口のわたなべさんにストレートに褒めてもらえるとは!嬉しいな、ありがとうございます!