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【ブックレビュー】世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?

クック諸島に行く時、実は本を4冊持って行きました。(笑
フライト中や夜、自分の部屋で本を読む時間がそこそこあるだろうと予想して。

いやいや、全然そんな時間なかったわ(笑)
読みゃあしなかったわ。
ただ1冊の本を除いてね。

その例外の本がこの「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?」という新書です。
この本だけは、クック滞在中もちょっとずつ読み進めていました。

この本ほんとにいいんです。

自分がいつもなんとなくモヤモヤ感じていたことを、スッキリとスマートでわかりやすい表現で書いてくれました。

とても読みやすく、読んでいてラクな本です。

日本の様々な組織に身を置く人にとって、生き方や選択の参考にもなると思います。

いろんな切り口で語れるんだけど、今回は「あーこれ、写真も同じかも?」と、作品撮影する上で参考になる部分に絞って、ご紹介します。

大事なのは「選択と捨象」

「デザイン」と「経営」には、本質的な共通点がある

「エッセンスをすくいとって、後は切り捨てる」

大事なのは「選択と捨象」、つまり「選択」したら、後は「捨てる」ということ

デザインと経営の共通点は選択したら他は捨てる

これは、まさに写真を撮る時の考え方と同じではないですか。

写真は引き算、ってよく言われます。

優れた経営者やデザイナーは、写真を撮らせてもきっと優れた写真を撮るのでしょう。

美意識とは自分のスタイルを守ること

美意識=スタイル=エスプリ

大事なのはスタイルだ、
自分のスタイルを守ることだ、
どんなひどい状況に陥っても自分のスタイルを崩さなければ何とかやっていけるものだよ

村上龍『悲しき熱帯』

「なぜ美意識を鍛えるのか?」というタイトルの書籍なのに、返す刀で著者は「美意識を鍛えることはできない」とも言ってます。

どちらが正しいのでしょう(笑

その答えのヒントが、この引用部分です。

美意識というのは、自分の個性、自分の性質そのものであるということ。

私は、そう解釈しましたよ。

だったら、個性を鍛えることは確かにできないかもしれないですね。
できることといえば、自分が認識してない自分の個性、奥に隠れてはっきりと形を現していない個性を表に引っ張り出してくることでしょうか。

そして個性とは何なのか?

私が思うに、個性を発見するためには、旅に出れば良いんじゃないかと。
何かが起きたり、何かに出会ったりした時、「あー、自分って、こう思うんだ、こう感じるんだ、こんな行動するんだ」って発見すること。
それが個性=すなわち、その人に固有の美意識なのだと思います。

絵を見て、感じて、言葉にするVTS

Visual Thinking Strategy
見て、感じて、言葉にする

Visual Thinking Strategy、略してVTS。

最近のビジネスエリートの間で、この学習プログラムを受けるのが人気らしいです。

どんなカリキュラムか?
複数の人が受けるグループレッスンで、課題の絵を一枚決め、設問に自由に答えていくというものです。

設問の内容は次の通り。

  • 何が描かれていますか?
  • 絵の中で何が起きていて、これから何が起こるのでしょうか?
  • どのような感情や感覚が、自分の中に生まれていますか?

なるべく豊かな気付きを得ることができれば、カリキュラムは成功なんだそう。

グループで実行することが肝で、大事なのは「どんな発言も許される」という雰囲気作り。

「こんなこと言ったらダッセーかも、馬鹿だと思われるかも、言うのやめとこ」

と感じさせず、素直な、発言をしたくなる雰囲気を作る事が大事なのです。

許される雰囲気の中では、誰か勇気ある一人が発言すると、その発言を足がかりに他のメンバーも気づいたことを発言し出します。
さらにその発言に対しても、また別のメンバーが独自の気付きを発言し始め、どんどんプラスの連鎖が生まれて行きます。

このレッスンは、課題の絵を「写真」にしても面白いんじゃないかなと、私は思いました。

自分一人でもVTSはできそうだけど、何人かでやった方が、他人の視点の自分との違いが発見できて楽しいし、学びがあると思います。

パターン認識

パターン認識とは、目に入ったものを「過去にあったアレ」と同じだと見抜くことです。

大人は、目に入ってくることを、意味付けして解釈するようになっています。

パターン認識は、毎日の繰り返しを、エネルギーを省力化して効率的に過ごすにはたいへん大きな武器です。

しかし、その一方で「変化を捉える、変化を起こす」には大変重い足かせになっています。

言葉というのは概念でありパターン

文字、名前、記号、全部パターンです。

街スナップを撮る時、「文字のついた看板は極力絵の中に入れないように」とよく言われます。

母国語の文字というパターンは非常に強力で、目から入った「文字情報」は瞬時に「言葉」に変換され、ほぼ同時に「意味」として認識され、次の「行動」へと促します。

意味を排除して見ることが、とても難しいのが「文字」です。

だから特別な意図がない限り、画面に「文字」は入れないようにしましょうね、と写真教室では教えます。

「文字」の「意味」に引っ張られ、最も見せたい部分に見る人の意識が向けられないことを避けるためです。

ただその文字が外国語だった場合、パターン認識の力は弱まります。

我々日本人が、パリやアフリカやカンボジアで撮影された写真を見る時、その国の言葉が写っていても、「意味」としては認識せず、「模様」あるいは「背景」のようにとらえていると思います。
しかし現地の人が見れば、それらは明確に「意味」として認識されるでしょう。

写真は人に見せて完結するというのは、そういう側面も指しているのかもしれません。
同じ写真でも、見る人の文化・歴史的背景により、伝わることが変わります。

伝達のためにはパターンの利用は効率的、でも素直に美を感じるならパターンの呪いから自由になったほうがいい。

メタファー

優れた詩は「メタファーの力」を活用することで言葉以上のイメージを読み手に伝えている
日常の営みのあらゆるところにメタファーは浸透している

われわれが普段、ものを考えたり行動したりする際に基づいている概念体系の本質は、根本的にメタファーによって成り立っているのである。

ジョージ・レイコフ『レトリックと人生』

メタファー。
メタファーは、ベストセラー小説「騎士団長殺し(村上春樹著)」のなかでも重要な概念として描かれています。

メタファーは、辞書を引くと「暗喩」「隠喩」って書いてあります。

喩はたとえること。

はっきりと「まるで○○のようだ」と例えるのが、わかりやすい「直喩」です。

暗喩(メタファー)は奥ゆかしい表現方法なので、投げる相手によっては、真意に気づいてもらえないこともあります。

だけどメタファーによる表現が、発信者から受け手にストレートに届くと、他の表現では追いつかないほどの強力な伝達力を持つんです。

言葉が多ければ、強く伝わるわけではありません。

むしろ少ない言葉でも、的確で、新鮮で、独創的で、革新的で共感できるものであれば、その方が深く届き、強い余韻を残します。

めちゃくちゃ笑えるコントとかも、優れたメタファーを使ってますよね。

メタファーは共感でもあるし、妄想でもあります。

優れた写真、強い写真というものも、メタファーを持っていると思います。

そこに写っているモノ以上の何かを、見る人に想起させる写真。

それは見る人が過去に見たもの、経験したこと、考えたこと、憧れたことかもしれません。

写っているのは写真を撮った人が見たもの、経験したこと、感じたこと。

だけど見た人も、何かそこに自分の経験と共通するもの、シンクロするもの、共感できるものを感じとってしまう写真。

いい写真って、そういう写真なんじゃないでしょうか。

追記

この記事を書いている最中に、相撲界のできごとを巡り、連日ニュースで盛んに報道されており、その中で渦中の人物に対して

「美意識過剰すぎる」

という発言をする人がいたんです。

この発言を耳にしたとき、

嘘だろ?あり得ないよ、その言葉、と思いました。

しばらく経ってどうしようもなく悲しくなって、涙が出てきました。

人がどんな美意識を持とうとその人の勝手だし、自由だし、美意識が貧しくて困ることはあっても、豊かで困ることなんてないと私は思います。

なにしろ世界のエリート達は、わざわざ時間とお金を使って、鍛えられない美意識を鍛えようとしてるんだぜ?

過剰なほどの溢れる豊かな美意識を持った人がチームの中に存在しているなら、その人、最高のチームの宝じゃないのかな?

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」 (光文社新書)

みんなこの本を読んで、美意識について、すこし意識してみて欲しいです。

POSTED COMMENT

  1. わたなべ ゆうじ より:

    おもしろかった。
    しかし、理解するにはとても難しく感じた。
    考え方の一方面を見た気がした。

    • sugar より:

      面白いですよね? ぜひ、元の本の方も読んでみてください。 もっとよく理解できるようになると思いますよ〜。

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