2022年に、私が読んで高評価した本を選んだら15冊ありました。この2022ベスト本15冊はこちらの記事 にまとめています。15冊の分野が多岐に渡るため、近いものはまとめて全部で5つのジャンルに分類しました。
本記事は5ジャンルのうちの1つ、小説のご紹介です。2冊あります。
小説を読むきっかけは、ほとんどが新聞か雑誌の書評欄です。今回ご紹介する2冊も書評経由で出会った本です。
小説を読む面白みは、自分じゃない人の人生を主観的に経験できることですね
小説家って本当にすごい。キャラクターを考え、筋書きを考え、作品として成立するべくまとめあげる‥よくできるな、と思います。今回取りあげる2冊は特にキャラクター描写が秀逸。気になったかたはぜひ、読んでみてください。
正欲
『正欲』朝井リョウ著
私の中では、朝井リョウ氏は信頼できる若手の文学者という立ち位置です。まだ私が読んでいない彼の本があるなら、すぐ読むための手配をします。
正欲というタイトルが、まず読者に対して挑戦的ですよね。正しい欲とは?欲に正しいものと正しくないものがあるのか?という問題提起を感じます。
読んでみると、やはり、なかなかの大問題を提示してきます。
読む前の読者の勝手な期待に応えてくれますね!
おそらく『正欲』は、報道された実際の事件にインスパイアされて構築したテーマだと思うんです。
というのは、小説中に出てきたニュースをGoogleでキーワード検索してみたら、似た内容の報道記事がヒットしたんですよね。でも本当に小さな記事でして。ほとんどの人はサラッと読み流しちゃうだろうな‥というような記事。
ほんの小さなニュースを目にし、妄想を広げて、読み手の内面にグッサリ爪痕を残す世界観とストーリーを作れる朝井リョウという作家はつくづくすごいと思うんです〜。
『正欲』読んで欲しい〜。21世紀の日本を生きるあなたに。
信仰
『信仰』村田沙耶香著
村田沙耶香氏も、私にとっては見逃せない若手現代文学作家です。村田沙耶香さんの本を読むたび、毎度度肝を抜かれます。予想を上回る展開が用意されているので…。
村田沙耶香作品に共通するのは、フラットな描写に漂う不穏な空気、やがて訪れるディストピアな結末‥。
一度村田沙耶香ワールドを経験すると、クセになってしまうのです。
しかしカオスでディストピアなエンディングに到着する前に、読者である我々が無意識に受け入れている世界の異常さや、無意識に持つ常識のいびつさに気づかされるんです。
あの感覚、あの過程をまた味わいたくて読んじゃうんだな〜。
食べ物にたとえるなら、食べるとツーンと刺激がきてそのときは苦しむけど、なぜか癖になってまた食べたくなるわさび巻みたいな小説です。
まとめ・2022年読んでよかったベスト本その4・小説2選
2022年に読んだ社会派、オピニオン系のベスト本は以下の4冊。みなさまもぜひに。