こんにちは、レタッチは100%Lightroomでやっているフォトグラファーのちゃんまり(@sugar_mariko)です。
写真は明るいところと暗いところ、両方をフレームインして撮ると、どちらかの写りはイマイチになってしまいますよね‥。
明るいところにあわせれば、暗い方はつぶれて、逆に暗い方にあわせれば、明るい側がぶっ飛んで真っ白になります。
両方きれいに撮るのは、カメラの性質として無理‥。
しかしカメラに無理でも、Lightroomの段階フィルターなら、明暗差を修正できます。
段階フィルターを使えば、大きな明暗差のある写真も肉眼で見たイメージに近づけられるのです。
ということでLightroomならではの優秀な部分修正機能、段階フィルターの便利な使い方を解説します。
段階フィルターとは
Lightroomの段階フィルターは、
「こっち側だけ暗くしたい」
「こっち側だけ明るくしたい」
という要望にこたえて、写真を部分的に修正する機能です。
段階フィルターの概念
段階フィルターは「グラデーションのかかったフィルター」と考えるといいです。
段階フィルターでは基本的に
「フィルターがかかった部分には効果が効かない」
と考えます。今のところは、この考え方だけ理解しておけばOKです。
では、実際にやってみましょう。
今回は以下の写真をサンプルに、「写真の右半分だけを明るくする」ことをを段階フィルターのゴールにします。
写真のゴールは人それぞれであり、絶対的なゴールはありません。
また、その写真が「何を目的にするか」によっても仕上げ方は変わります。
したがって、今回私がゴールとした「写真の右半分だけを明るくする」も、万人にとっての正解ではないです。
私の目的は「壁の白さと対比する影の美しさをもっと際立たせたい」ということ。この目的を達成するため、右だけを明るくすることをゴールにしました。
Lightroom段階フィルターの使い方
では段階フィルターの使い方を解説します。
加工したい写真を開く
まずLightroomで加工したい写真をライブラリから開きます。
補正前、補正後を比較できるようにする
段階フィルターの効果を見るため、補正前と補正後を並べられます。
メニューバー>表示>補正前/補正後
とマウスを動かして
左/右 か 上/下
好きな方を選びます。事例では左右を選んでいます。
補正前、補正後が横並びで比較できるようになりました。
ちなみに補正前、補正後表示はショートカット『y』でオン・オフできます。
段階フィルターを実践
準備万端です。では段階フィルターを実践してみましょう。フィルターをオンにする方法
右モジュールパネルから段階フィルターを選ぶ
段階フィルターは、右モジュールパネルにある↓これです。
基本補正の上にある、長方形の形をしたアイコンが段階フィルターアイコンです。クリックして選びます。
もし、
- 右モジュールパネルが出ていない
- 段階フィルターの選び方がわからない
といった場合は、次の手順で段階フィルターを出してください。
Lightroom上部のメニューバーから
ウインドウ>パネル>基本設定にチェック>右モジュールパネルを表示にチェックを入れる
これで右モジュールパネルに基本補正や段階フィルターのアイコンが出てきます。
段階フィルターのアイコンをクリックするとアイコンの線が太くなって、オンになります。
段階フィルターオンの状態で、『補正後』画面にマウスを持っていくと『+』の表示が出るはずです。
『+』を
「だいたいこの辺から変えたいな」と思うあたりに置いて、
「こっち側に向かって変えたい」と思う方向にドラッグしてください。
この時点ではドラッグの幅は適当でいいです。
段階フィルターが作られる
直線が3本、二重丸(◉)が1個、画面に現れましたね?
これが段階フィルターです。
しかしこれだけでは何がどう変わったかわからないかと思います。
効果も効いているのかいないのか‥
段階フィルターを移動して効き始めを調整する
作った段階フィルターは、移動することができます。
今回も段階フィルターを作ったはいいものの、効き始める地点が自分の意図とちょっとズレています。
そんなときは、段階フィルターを移動して修正することが可能です。段階フィルターの移動の方法ですが、
二重丸(◉)をぐーっとドラッグ
です。これで、移動&修正できました。
段階フィルターは回転できる
人によっては段階フィルターの直線の入り具合が「ちょっと曲がっててイヤだな」と感じるかもしれないですね。曲がってるのは、段階フィルターの回転で直せます。
段階フィルターの回転方法は以下のとおり。
まず
二重丸(◉)の
・外周のあたり
かつ、
二重丸(◉)の
・真上、または真下
にマウスを持っていきます。
すると、「両側に矢じりのついた弧」が出てきますよね?この弧を回転させると、段階フィルターの角度を調整できます。
段階フィルターは幅の調整で効き具合を調節できる
段階フィルターは、幅を調整することができます。そして幅の調整で、効き具合を調整できます。
以下が調整の方法です。
3本直線の外側の直線、どちらでも構いませんが、直線の外側にマウスを置いてください。
ピンポイントの場所にマウスを置くと、カーソルが、手のマークに変わります。
手のマークに変わったら、さらに外側に向かってぐーーーっとドラッグしてください。
段階フィルターの幅が変わりましたね?
幅を変えると段階フィルターの効きがマイルドに
段階フィルターは、幅が狭いほど強く効き、幅が広いほどマイルドに効きます。
- くっきり効かせたい時は狭く
- ふんわり効かせたい時は広く
みたいに考えるといいです。
『選択したマスクオーバーレイを表示』で段階フィルターを色で確認できる
段階フィルターの状態を赤色で確認する機能があります。
段階フィルターを選んで修正かける写真の下の欄を見ると、「選択したマスクオーバーレイを表示」と表示されているはずです。「選択したマスクオーバーレイを表示」にチェックを入れてください。
すると、段階フィルターの部分が赤くグラデーションに色づいて表示されます。
赤い部分こそが、段階フィルターがかかっているエリアで、そのエリアでは効果がマスクされてあまり効かない‥と直感的に理解できます。
基本補正スライダーを調整して非フィルター部分を加工
フィルターエリアを確認したら、次は基本補正項目を調整して、非フィルターエリアを加工します。
今回は「写真の右半分を明るくする」ことが目的です。
これまでの作業で左半分にフィルターがかかり、右半分にはフィルターがかかっていない状態です。なので、このまま『発光量』のスライダーを右にスライドして明るくします。
写真右側エリアだけが明るくなります。
赤グラデーションが入ったままだとよくわからないので、『選択したマスクオーバーレイを表示』チェックをオフにして、素の状態で確認してみましょう。
すごくきれいに右だけ明るくなっています。
(注:グラデーションによる差異なので、左側もほんの少〜しは明るくなります)
段階フィルターすごいですねー!Lightroomすごいですねー!
段階フィルターすごいですよね〜。便利です。基本操作を覚えたら、いろいろ試してみてください!
Lightroom段階フィルターで修正できないこと
段階フィルターの使い方と便利さを解説しましたが、段階フィルターには弱点もあります。
はじっこ側からしか修正できない
段階フィルターの特徴は、片側だけしか修正できないことです。画面の中央あたりを修正したいなら、段階フィルターを複数かけるなど、工夫が必要になります。
ピンポイントで修正できない
段階フィルターは「この1点だけを明るくしたい」みたいなピンポイントな修正はできません。広いエリアの修正に向くのが段階フィルターです。
Lightroomには、段階フィルターができないことをカバーする別のフィルター機能があります。それが「円形フィルター」と「補正ブラシ」です。この2つの機能については別記事で解説します。
Lightroomの段階フィルターのメリットまとめ
最後に、Lightroomの段階フィルターのメリットをまとめておきます。
- 明暗差の大きい写真を部分的に補正できる
- 意図的に明暗差を作ることができる
- 目立たせたい部分を明るくできる
- 目立たせたくない部分を暗くできる
光と影がある限り、写真の明暗は作られるものです。
撮影の時点で解決できるものはしておくのがベストですが、すべてをその場でやり切るのは難しいでしょう。時間の制限がありますから。
撮り逃したら撮り直しできないのならば、設定はそこそこで、とにかく撮っておくことが重要です。
明暗差の調節に、ぜひ段階フィルターを活用して、写真をパワーアップしてください