銀座のキヤノンギャラリーで開催された竹沢うるまさんの写真展「BOUNDARY | 境界」を見に行って来ました。冷たいけれど温かみがあるとても雰囲気のある空間に仕上がっていて、グッと来ました。
写真展を見に行った理由
竹沢うるまさんは私の最推し写真家なので、新作発表展には必ず足を運びます。会期が長ければ3〜4回行くこともあり。
写真展を見た感想
今回は、半分以上がアイスランドで撮影された作品です。
黒い海岸、白い雪、藍色の海、白い波を捉えたカットがとても美しいです。人間の痕跡を感じさせるものが一切存在しない背景。その上を舞う鳥だけが生の痕跡を感じさせて非常に印象的。
鳥の写真は何点も展示されていました。「鳥」は、今作品展における重要テーマなのだそうです。
陸地と海と波の作る曲線が本当に美しいんですよね。青の色もいいですよね。青というよりもっと深い。藍色というんでしょうか。とてもきれい。
個人的には、今私はすっかり進撃の巨人脳になってしまっているので、海と鳥の写真も、進撃の巨人のワンシーンに見えてしょうがなかったんですけどね。ハハハ。(漫画・アニメの進撃の巨人を今から体験してみたい方はこちらの記事をどうぞ)
作品のジャンルは
「風景写真」「人物写真」「動物写真」みたいな、型にはめられない作品群です。それでも無理やり撮影地でカテゴライズすると、以下の2箇所で撮影された作品ではあります。
・アイスランドで撮影したもの
・日本の東北で撮影したもの
しかし、場所がそこであることには、多分特に意味がないんです。あくまでモチーフでしかないというのかな。「〇〇に行ってきました」っていうわけじゃないんですよね。
無駄がなく削ぎ落とした世界。ですが、なぜか冷たさや突き放されたようには感じないんです。悟ったような達観したような…。無と言うかフラットと言うか。ドンピシャに言語化できなくて悔しいな…。
全体の色合いが
・モノクロに近いワントーンの写真
・モノクロ写真
という、無彩色の世界です。なのに殺伐とはしてない。冷たく見えるけど、手をあてたら地の熱を感じさせる、みたいな。
風景あり、人あり、人が作ったものあり、何だかよくわからない隕石的な物体あり…なんですが、全てはつながっている、全て同じ世界といった思想を感じました。
写真展のよかった点
優れた芸術の共通点は、「なぜか自分の内面をのぞいてったかのように代弁してくれる」ことだと思います。
BOUNDARY | 境界 も、代わりに表現してくれるような作品でした。言語化できないけど意識の奥で感じていたことを形にしてくれるような。
多くの人に共通する抽象化されたテーマを含んだ作品だから、その世界に触れただけで、自分ごとになり、自分のテーマに置き換えて考えることができるんですよね。
今を生きるすべての人に、おすすめの展示でした。
会場
会期
2021年4月20日(火)〜4/28(水)
※展示期間は、当初5月8日までの予定で始まりました。
しかし、次の経緯をたどったため、会期半ばで終了しました。
・4/23(金)東京都に緊急事態宣言発令
・4/23(金)、4/24(土)予定どおり展示
・GW前に展示終了に変更
・4/27(火)〜4/28(水)展示
とても素晴らしい展示が、会期約半分で中断することになり、本当に残念です。
写真集
写真展と同名の写真集が販売されています。写真集は手に取ると驚きますよ!表紙をめくるともう一回表紙が出てくるみたいな。とにかく度肝を抜かれました✨
見れば見るほど味わい深い写真集です。
私の友人なんぞ「この写真集さえあれば他の写真集は全部捨ててもいい!」などと言っています。確かに素晴らしい内容です。
ちょっと高いですが、買って損はありません。圧倒的な作品なのに、「どうだー!」とマウント取りに来ないんです。だから見てても疲れない。
お値段以上の価値あり😁
写真展の巡回展
2021年6月には大阪でも展示される予定です。予定どおり催行されることを願っております。
予定:
キヤノンギャラリー大阪
2021年6月8日(火)〜6/19(土)